大西洋に浮かぶ英領バミューダ諸島の南方1200キロ沖合で、
12人乗りの小型旅客機が15日から行方不明となり、
飛行機や小型船が突然消えてしまう伝説のある
バミューダ・トライアングル内だったことから米メディアが
「魔の三角地帯の再来か」と騒ぎ始めた。
旅客機は15日にドミニカ共和国を離陸後、
英領タークスカイコス諸島付近で緊急信号を出して
レーダーから消えた。
米マイアミの沿岸警備隊が航空機などを出動させて
約1万3000平方キロメートルに及ぶ海域を捜索したが
何の痕跡もなく、
米紙は「魔の海域で謎の消失」と伝えた。
警備隊は嵐に巻き込まれた可能性を示唆し
「超常現象説は採らない」と述べた。
バミューダ・トライアングルは
マイアミ、プエルトリコ、バミューダ諸島を結ぶ三角形の海域。
かつて航空機などが原因不明のまま消失したとされたが、
多くはハリケーンなどに巻き込まれた
事故であることが分かっている。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/081218/amr0812181221011-n1.htm
最近日本では前夜祭のハロウィーンが知られるようになったが、
今日はキリスト教の諸聖人の祝日(万聖節)である。
世の中には人知れず善行を積み、
天国で聖人となっている人も多いに違いない。
そんな「隠れた聖人たち」を祝おうという日だ。
▼こんな祝日からわかるように、
西欧社会では「聖人」へのあこがれが強い。
中でも人気があるのは3世紀から4世紀に
今のトルコに実在した聖ニクラウスだろう。
貧しい子供たちに施しをした。
言うまでもなく、
サンタクロースの「原形」になったとされる聖人である。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081101/stt0811010339001-n1.htm
2008.11.2 03:16
20世紀の中ごろ、
イラク北部のシャニダール洞窟(どうくつ)で
ネアンデルタール人の化石9体が見つかった。
その中の1体に大量の花粉粒がついていた。
異論もあるようだが、
埋葬するときに花を手向けていた
「やさしいネアンデルタール人」として話題になった。
▼こちら奈良の藤ノ木古墳でも古代人の
「やさしさ」が浮かび上がってきた。
昭和63年に発掘調査したとき、
石棺内から被葬者2人の人骨とともに、
たくさんの副葬品が見つかった。
それに交じってベニバナ(紅花)と
みられる大量の花粉も検出されていた。
▼紅花は古代エジプトの時代から
染料として使われている。
だから当初、
被葬者を覆っていた布から出たものと
みられていたそうだ。
ところが
、奈良教育大の金原正明さんの研究で、
染料に使われた花の花粉はほとんど残らないことがわかり、
供花だったのではないかとなった。
▼末摘花という風雅な別名もあるこの花は
真夏に咲く。
もし生花として手向けられたとなると、
葬られたのは夏ということになる。
そこで不明だった被葬者として浮上したのが
欽明天皇の皇子の穴穂部(あなほべの)皇子と、
その同母弟との説もある宅部(やかべの)皇子である。
▼2人は587年6月7日と翌日、
蘇我馬子によって殺害されたと「日本書紀」にある。
今の暦だと7月にあたり、
紅花の季節とピッタリで、
昨日の本紙は2人である可能性が極めて高いと報じた。
ミステリードラマ風に言えば
「紅花は知っていた」ということだろうか。
▼この穴穂部皇子は、
当時の武闘派のひとりだったようだ。
そのため馬子とも反目することになり、
敵も多かった。
それでも推測が当たっていれば、
装飾品や花に囲まれて埋葬された。
たおやかな古代の風が漂ってきそうなニュースであった。
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/081102/sty0811020317000-n1.htm
ハリウッド映画には、刑務所を舞台にした名作が多い。
そのひとつ『ショーシャンクの空に』のなかに、
こんなシーンがある。
長年、刑務所内の図書館係を務めてきた
ブルックスという老人が、
囚人仲間に刃物を突きつける。
▼仮釈放が決まったものの、
外の世界が恐ろしい。
罪を犯して、刑務所にとどまろうとしたのだ。
案の定、「シャバ」の生活に疲れ果て、
自室の梁(はり)に「ブルックスここにありき」と
刻んで首を吊(つ)る。
▼きのう公表された『平成20年版犯罪白書』によると、
昨年、「一般刑法犯」として検挙された
65歳以上の高齢者は、
4万8605人にのぼり、
20年前の約5倍になった。
昨年服役した65歳以上の受刑者も、
6倍を超えている。
受刑者の高齢化は、数年前から指摘されてきた。
▼広島県尾道市にある尾道刑務支所には、
高齢受刑者のための専用施設がある。
段差がなく、車イスごと入れるトイレが設置されている。
食事も「きざみ食」「減塩食」などが用意される。
同様の施設が、
他の3カ所の刑務所で建設中だという。
刑務所内のバリアフリー化が進むのは、結構なことだ。
▼一方で、出所した高齢者が、
居心地のいい刑務所に戻るために、
万引、窃盗などの犯罪を重ねる新たな問題が深刻化している。
映画では、
二十数年後に別の老囚人が仮釈放されて、
ブルックスのいた部屋に住む。
同じ孤独をかみしめるが、
思いもかけない未来が待っていた。
▼現実は映画のハッピーエンドのようにいかない。
多くのお年寄りと介護に当たる人たちが、
元受刑者たちも逃げ出したくなる、
過酷な生活を強いられている。
そのことを思えば、
定額給付金の配布に、
所得制限するのしないの、
といった議論が、むなしく聞こえてならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/081108/stt0811080319001-n1.htm
2008.11.23 03:17
「私が日本を捨てたのではない。捨てられたのだ」。
「パリで最も有名な日本人画家」だった
藤田嗣治(つぐはる)は晩年、
君代夫人に何度も愚痴(ぐち)をこぼした。
1949年に日本を離れてから、1度も帰国していない。
▼55年にフランス国籍を取得、
4年後にカトリックの洗礼を受けて、
レオナール・フジタとなった。
戦争中日本に戻っていたとき、
軍の要請で戦争記録画を多数描いたことで、
戦後「戦争協力者」として非難され、
深い心の傷を負った。
ただ、フランスへの帰化を決意したのは、
それだけが理由ではないらしい。
▼戦前からすでに、
エコール・ド・パリ(パリ派)の代表的な画家として、
名声を得ていたにもかかわらず、
日本画壇の評価は低かった。
おかっぱ頭にちょびひげという独特のスタイルや、
5回の結婚に対する偏見も強かった。
▼大宅賞を受賞した
『藤田嗣治「異邦人」の生涯』(近藤史人著)などによって、
その実像が伝えられ、
大規模な展覧会が日本で開催されるようになったのは、
最近のことだ。
今、上野の森美術館では、
没後40年を記念して「レオナール・フジタ展」が開かれている。
▼初期から晩年までの作品約230点のなかには、
「すばらしき乳白色」と絶賛された裸婦像や
長く幻の大作とされてきた「構図」「争闘」なども含まれている。
小欄のお気に入りは、
猫やライオン、
馬など動物を描いた作品だ。
躍動感あふれる筆致は、
国宝の「鳥獣戯画」を思わせる。
藤田が日本画の伝統技法を駆使していたことは、
専門家たちの常識だ。
▼君代夫人によると、
藤田がパリ郊外のアトリエで、
繰り返し聴いていたのは、
広沢虎造の浪曲「森の石松」だった。
食事も和食ばかり。
やはり藤田が日本を捨てたことはなかった。
http://sankei.jp.msn.com/culture/arts/081123/art0811230318000-n1.htm
産経抄】11月27日
2008.11.27 03:09
東京・六本木の寿司(すし)屋で、
山口瞳が三島由紀夫とばったり会ったときのことだ。
自決から3年ほど前だった。
三島は何度もトロを注文していた。
というより、トロしか口にしなかった。
▼山口によれば、
仕入れ値の高いものばかりを食べられると、
店はかえってもうからない。
目玉商品が売り切れてしまえば、
店じまいだ。
トロを握る職人の、
「ちょっと困ったような表情も忘れることが出来ない」と、
エッセーに書いていた。
▼日本人とマグロの付き合いは長い。
「万葉集」や「日本書紀」にも記述がある。
寿司ネタになったのは、
江戸後期になってからだ。
冷凍技術の発達によって、
今や世界中の海で取れたマグロが、
日本に入ってくる。
特に最高級の「クロマグロ」は、その8割近くを消費してきた。
▼一方で、
「魚離れ」も同時に進んでいる。
アジやサバ、各地で親しまれてきた
「雑魚」を食卓に載せる家庭が減ってきた。
丸ごと調理したり、
食べるとき骨を除く手間が嫌われているらしい。
世界の海を、
寿司屋のネタ入れケースにたとえれば、
日本人は三島と同じようなマグロの食べ方をしていたことになる。
▼もっとも、
そんな贅沢(ぜいたく)は許されなくなった。
乱獲によって個体数が激減した、
東大西洋のクロマグロの漁獲枠を、
現行から約2割減らすことが決まった。
山口は世事に疎い三島を、
寿司屋のマナーを知らなかっただけ、とかばった。
しかし、日本の消費者は、
「知らない」ではすみそうにない。
▼欧米や中国で魚の需要が拡大し、
輸入価格が上がっているのに、
国内の漁業は、
燃料費の高騰や水揚げ減少にあえいでいる。
マグロに限らず多くの魚が、
将来日本人の口に入らなくなる可能性さえ、
一部の専門家は指摘している。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081127/trd0811270309002-n1.htm
12月18日付 編集手帳
遠い昔、路地裏や原っぱで、
〈あの子がほしい、あの子じゃわからん〉と
歌った方もあろう。
子供の遊び、
「はないちもんめ」(花一匁)である。
〈勝ってうれしいはないちもんめ、
負けてくやしいはないちもんめ…〉
◆かつて口減らしがおこなわれた貧しい農村から
子供を買い集めるとき、
「花」(女児)1人につき金1匁が支払われた。
中国史家、阿辻哲次(あつじてつじ)さんの
「部首のはなし 2」(中公新書)によれば、
字面も美しい「花一匁」には哀(かな)しい一説があるという
◆1匁は3・75グラム、
一文銭の重さ(一文の目方=文目)から生まれた単位で、
匁という字は「文」と「メ」を組み合わせた
形ともいわれる。
いまでは真珠の計量以外で用いられることはない
◆常用漢字表の見直しで、
191字の追加と5字の削除が決まった。
「匁」も削られる。
「はないちもんめ」で遊ぶ子供を
見かけぬようになって、
すでに久しい。
漢字表からも消えることで
「匁」は記憶のかなたにまた一歩、
遠ざかっていくのだろう
◆1匁とはどれほどの重さであったかと、
小銭入れを探ってみる。
5円玉はぴったり3・75グラム、
1匁である。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20081218-OYT1T00278.htm
12月12日付 編集手帳
囲碁の呉清源さんは若いころ、
ときに夢のなかで妙手を見つけたという。
「目がさめてから、形の一部をおぼえていることがあるそうだ」と
作家、川端康成が
「名人」(新潮社)に書いている
◆ビートルズの名曲「イエスタディ」には、
ポール・マッカートニーさんの夢に現れた
メロディーから生まれたという語り伝えがある。
一芸に抜きんでた人は、
夢も無駄には見ないらしい
◆普通は思い出せなくて、
もどかしいのが夢である。
将来はどうだろう。
人が見たものを、
脳の活動パターンをもとに画像で再現する。
その技術を
国際電気通信基礎技術研究所(京都府精華町)などが開発した
◆「□」や「×」などの図形や
アルファベットを見た人の脳から情報を読み取り、
コンピューターの画面上に映し出す技術で、
睡眠中の夢や脳裏の空想にも
応用できる可能性があるという
◆一芸なき身は時折、
献立の記憶はおぼろながら、
飲食の夢を見る。
ほほう、きょうは刺し身だったか、
熱燗(あつかん)まで一本ついちゃって…と、
目ざめてから再現画像に見入る日が
いつか訪れるのかも知れない。
うれしいような、そうでもないような。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20081212-OYT1T00009.htm
12月10日付 編集手帳
8年前にノーベル化学賞を受賞した白川英樹さん(72)が
中学時代の思い出を語ったことがある。
物理の時間、
ひとりの生徒が「雲はなぜ落ちてこないのですか」と教師に尋ねた。
「雲をつかむような質問だ」と教師は話をそらした
◆先生も分からないから一緒に考えてみよう。
「そう答えてくれたら、私は化学ではなく
物理の道に進んでいたかも知れない」と。
学校の教室が
好奇心の芽を摘み取る場になることもある
◆夜道が教室になることもある。
今年のノーベル物理学賞に選ばれた益川敏英さん(68)が
ストックホルムで受賞記念の講演をした。
小学生の昔を回想している
◆家具職人や砂糖商をしていた父親は
科学や技術にも関心が深く、
いつも銭湯に通う道すがら、
モーターの回る仕組みや
日食、月食の原理を話してくれた。
理科の面白さをそうして知ったと、
“英語嫌い”の益川さんは日本語で話した。
遠い日の父に
語りかけた講演でもあったろう
◆暗い路地を脳裏に描く。
タオルと石鹸(せっけん)の手桶(ておけ)を小脇に、
ときに手ぶりを交えて語る父がいる。
耳をすまして聴く子がいる。
並んで歩く二人の上には、夜空の黒板。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20081209-OYT1T00934.htm
12月8日付 編集手帳
故郷に帰るたびに、
寒々しい光景を目にする。
駅前近くで虫食い状に広がる駐車場や、
入居者のいない老朽ビル…。
やむを得ぬ事情で事業をやめ、
退去した人も多かろう
◆都会で暮らす自らにも
責任の一端があると承知のうえで、
心が痛む。
三大都市圏以外の地方圏の人口は
今後30年間で1200万人も減少するという。
地方にとって人口流出に歯止めをかけることは
切実な課題だ
◆一つの対策として、
総務省は定住自立圏構想を進めている。
「中心市」と周辺市町村が協定を結び、
産業振興や医療、交通、観光などで手を携える。
中心市に圏域全体に必要な都市機能を整え、
国が支援する。
青森県八戸市、
長野県飯田市など26自治体が
先行実施団体に指定された
◆企業誘致や農産品の地域ブランド
育成に各市町村が協力する。
地域の拠点病院から
周辺自治体の診療所に医師を派遣する。
いかに若者を地元にとどめ、
中高年を都会からUターンさせるか
◆もちろん特効薬などない。
試行錯誤を重ねつつ様々なアイデアの
具体化に努めねばなるまい。
国の権限や職員、
財源を自治体に移す地方分権も、その一助となろう。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20081207-OYT1T00679.htm
12月7日付 編集手帳
文豪も源氏物語を原文で読み通すことには難渋したらしい。
森鴎外は明治の末、
与謝野晶子が口語訳を出版した際に
寄せた序文の中で
「(原文は)とにかく読みやすい文章では
ないらしゅう思われます」とぼやき、
新訳で読めることを大喜びした
◆今では谷崎潤一郎、円地文子、瀬戸内寂聴などが
多彩な現代語訳を成し、
鴎外のような苦労をせずに
奥深い宮廷物語を味わうことができる。
英語など約20の外国語に翻訳されてもいる
◆日本が誇る
「世界最古の長編小説」が
国内外で広く読まれているのは、そうした訳者の功績も大きい。
そしてさらに、目の不自由な外国の人にもぜひ読んでほしい、
と考えた訳者がいた
◆東京・世田谷の点訳ボランティア「紫会」の主婦5人だ。
4年がかりで英語版の点訳39巻4400ページを完成させ、
日本点字図書館などに寄贈した。
その点字データはインターネットでも入手できる
◆「源氏物語千年紀」の今年にふさわしい業績として、
読売福祉文化賞を受けていただくことになった。
いずれ世界中で、
多くの人が点字をなぞりながら、
心のスクリーンに平安絵巻を映すことだろう。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20081207-OYT1T00045.htm

